2005/11/01(Tue.) 理由。 [長年日記]
■ [Essay] 人は誰でもまず共感してもらいたい
以前、やじうまWatchで「理系の男はなぜモテないのか*1」という記事が紹介されたことがある。会話で問題解決をしようとしてしまうのは別に理系の男に限ったことではなく、男脳ゆえの反応だと本なりテレビで見聞きした思い出がある。私は、男がモテてていないことの主因は他のことのほうが大きいと思っている上、既に知っていた内容だったので、記事の本旨には驚きもしなかったが、衝撃的な事実に気づいてしまいショックを受けた記憶がある。
先日、友人らを乗せて高速道路を私が運転していたときのことだ。私は(私の車に同乗する人なら分かるように)、同業他車の運転について批評というかボヤキというかを吐きながら運転していた。他の車にイラつくことでも、言葉に出すことにより気が晴れる。何よりも、運転していれば必ずいるであろう他の車の運転に論評を加え続けることで気が紛れるし、居眠り運転の防止になる。いつものメンバーならば、自分が平素運転していることが多いからか、たいていの場合は同感してくれるか、少なくともスルーされたりして反論されることはなかったと思う。しかし、その日の助手席の彼は違った。彼は一言、あっさりと問題を解決してしまったのだ。
「まあ、そうカリカリなさんな」
一度ならず二度まで言われたので、私は運転中にもかかわらずもう何も言えなくなり、黙りこくってしまった。その日は早朝出発であったために、会話しなければ運転手以外、うとうとしていても良い状況であったこともその状況を許可することに幸いしてしまった。私が何かしらの事故を仕出かすときは一人でショートしていたときであることを考えれば、この状況がいかに恐いかお分かりいただけると思う。とにかく、私の精神衛生は悪いほうへと傾いた。彼はカッカ運転していると私によってよくないと言う親切心から慰めようと直接的に問題解決しようとしてくれたのだろうが、結果として問題は悪化してしまったのだ。
言っておくが、私が他の車について言うだなんて「進路変更でウィンカーを出さない」「ありえない車間距離*2」みたいなものである。自動車教習を24回多く受けた私が、その経験上出てくる、お利口さんではない運転を指摘して12万円の余計な出費を懐かしんでいるだけである。
黙りこくりながら、その記事のことを思った。
女性が会話する目的は、問題解決ではなく、あくまでも気持ちの共有、すなわち「共感」にあると言われています。
昔これを読んだとき、「俺はやっぱり女だったのかーっ!!」とショックを受けてしまったね。
私とて問題を解決したくて誰かに相談することはある。でも、それは問題が解決できるよう環境を整えてから相談するので、いわゆる男同士の問題解決会話型キャッチボールとして非常に有意義な話になることが多い。
だが、そういうビジネスな状況下でない普段着の話の中で、予期していなくて尚且つ反論できない問題解決をされてしまうと、忸怩たる気分になる。こんな奴の解決策だなんて誰が取ってやるか。意地でもその方法を採らないでやる。
問題なんてたいてい解決できるものだ。人の心のほうが措置しづらい。問題解決が求められていることもあるが、そうでないことも考えられる以上、問題解決は後回しにしなければならないのだろう。問題解決希求度の係数が男と女で違うだけで、男だってアグリーメントされたい内容だってある。そのあたりが真実だろう。
しかし、そう書いている俺が女に限らず共感をしようと会話でしているかと翻ってみてみると甚だ疑問だと言わざるを得ない。問題解決をしようとして返って相手の気分を害しているのではないか、そうおもって後でひどく落ち込むことがある。自分を犠牲にしてでも、相手を心地よくするように話を仕向けることは本当に難しい。
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