2020/11/21(Sat.) おちり [長年日記] この日を編集
■ [Review][Book][歴史ネタ] 司馬遼太郎『夏草の賦』を読む
年に1回は司馬遼太郎を読む。
夏草の賦 上
文藝春秋
¥514
夏草の賦 下
文藝春秋
¥514
もともと、司馬遼太郎の戦国モノ長編小説の最後と思って残していた。そしたら、『播磨灘物語』『箱根の坂』がまだあったのだが*1。出版年が1969年ということもあり、まだ小説度合いが強いものの、歴史エッセイ的部分が増えつつある時期の作品ということで物語を楽しめた。
ちょっと思ったのが、谷忠兵衛や吉田重俊といった長宗我部家臣。谷干城や吉田東洋に繋がるのが気になった。司馬遼太郎作品の『竜馬がゆく』『功名が辻』では、山内侍と長宗我部侍の対立が協調され、山内一豊の土佐入りでは長宗我部家臣は採用されなかったような記述もある。だが、吉田氏は山内首藤氏の支流で同根とも言える。新領地の同族となれば、引き立ては当然。無論、土佐藩自体が上士・郷士の融通が実際にはあったのも事実だろう*2。一領具足対策としては郷士差別はある程度あったのだろうが、単純な占領軍vs被占領民の話とは限らないわけで、小説のイメージに悪く影響されてしまった。すこし反省。信長の野望の吉田孝頼で気づくべきだった。
坂本龍馬批判が年々凄いのだけど、竜馬はあくまで小説の脚色の範囲って感じがする。一方で、山内家における土佐まわりの扱いのほうが影響甚大ではないか、と思った。
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