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2006/10/17(Tue.) [長年日記]

[ETilog9][地域ネタ] 盛岡中心部に大型書店が並立出来るかどうか、岩手県民の正念場

先日、ジュンク堂池袋本店へ行ったとき、ちょうど自宅最寄り駅のTSUTAYAで書店繁盛記を買っていたのは偶然だった。最後に、「盛岡店、雪をついて開店」というくだりがあってびっくりした。ジュンク堂盛岡店は12月9日のオープンになるようだ。

盛岡店は720坪だそうで、仙台ロフト店の470坪だから、一通りの書籍が期待できそうだ。もっとも、池袋だとか新宿だとかには敵わないのであるが、専門書がある程度減ってしまうのは(盛岡という地方都市、)止むを得まい。

実は、人生初ジュンク堂は仙台でだったりする。2004年春に仙台ロフト店へ行ってみたのが最初。これでも満足できる大きさだったんだけど、もともとの仙台のジュンク堂はイー・ビーンズのほうだったんですね。ここのジュンク堂は、書店全体でも良雰囲気の書店だとおもう。あまり明るすぎない落ち着いた雰囲気、静かで知的なひとが集まる空気、書店ど真ん中にあるカフェも解放感がある。もちろん、望んでいる本がすべてあるってこともリアル書店だからないのだけど、文庫・新書は扱っているフロア面積なら池袋店より広い気がする(文庫の棚が低めになっている)。


なんで盛岡に出店するのか? 岩手日報にはその根拠も載っていた。

総務省の家計調査によると、盛岡市の1世帯当たりの2005年の年間書籍購入額(雑誌、週刊誌含む)は約2万2000円で、東北6県の県庁所在地でトップ。

[大型書店の出店相次ぐ 盛岡より引用]

これにはびっくり*1。「秋田、青森も商圏に」ってあるけど、これはどこまで実現できるか。どうせなら、前潟地区あたりに平屋建てで日本最大面積実現してくれれば面白かったなーとか勝手に妄想してみる。


盛岡中心部といえば、自分が岩手に来る前に第一書店は飛んでしまったし(中央通り移転後にはよく行ったものだ)、サンビルの東山堂ブックセンターは満足できる規模だったが、これも岩手に来て2年目で無くなった。夕顔瀬にあった書店も消えた。川徳の丸善と、肴町の東山堂、あとは本店と駅前のさわやくらい。厳しい。

イオン盛岡(前潟のほう)には未来屋書店もあるが、品揃え的には却下である。なぜか自分が望む本がないことが多い。だいたい、車で行かなければならない時点で自分にはなじまない。

毎日新聞の岩手版に、そのイオンの未来屋書店にすらやられたさわや書店の話が載っている。さわや書店別館のモモが児童書の扱いを縮小するって見たときは、少しショックを受けた。それにはこんな理由があったのだそうだ。

さわや書店の伊藤清彦店長は「イオンにやられた。(イオンに入居する)未来屋書店の児童書の売り上げは全国5位。複数の店舗で家族連れを呼び込めるイオンに、児童書専門店の道は閉ざされた」と説明する。

[ユニバーサロン クリッピングより引用]

自動車で行けるショッピングセンターにやられるとはこういうことだったのかと、認識を新たにした。


さわや書店には、はっきり言ってお世話になっている。専門分野の書籍も、3/5はネット書店だが、残り2/5の3/5(ややこしい)はさわやで買った気がする。何よりも、1階フロアの「編集能力」は、私が生涯に出会った書店の中でも抜きん出ている。さわやに行かなければ出会うことがなかった本はいくつもある。あの「天国の本屋」はこの盛岡のさわや書店から火がついたのである。ここの特色としては、文庫本が出版社別でなく、出版社を横断しての著者別になっていることが挙げられる。……はっきり言って自分には多くの場合使いづらいのだが、著者別にする手間って相当なものですよ。気合いが違う。この書店に置いてある本は、つい買ってしまうことが多い。自分の琴線と相当にリンクしているということだろう。

ジュンク堂が来たら、さわや本店も危ういのではないか。そう思われている。だが、ジュンク堂だけでさわやが潰れるようでは、盛岡市民の民度を疑わざるを得ない。真の本好きなら、さわやにも足を伸ばすべきである。ネット書店ではない、リアル書店の良いところは、書籍がすぐ手に入るところ。古くは、肴町東山堂・東山堂ブックセンター・さわや本店・川徳丸善・駅前さわやとはしごして本を探し回ったものである。書店こそまっさきに冗長化されるべきものだ。SPOF(Single Point Of Failure)を絶対になくさなければならない。大通りに面してふらりと入れるのがさわや書店本店の最大の魅力である。ふらりと入って、1階レジ左斜め前に平積みになっている本をチェックするのが何よりも好きである。どういった本を推してくるか、そのラインナップにどう評価するか、書店員と客の胆の探りあいである。

私は街歩きをよくするが、街歩きの時のポイントとして、その都市の書店充実度をチェックするようにしている。大規模書店がない都市、逆に小規模な個人書店がない都市、個性的な中規模書店がない都市、書店の数を見ると、その都市に住んでいる市民の知的指向が分かるというものである。間違ってもジュンク堂撤退とか引き起こさないように、そして、さわや書店のような個性的な書店を潰すことがないように、盛岡市民だけでなく盛岡経済圏に住んでいる人間の書籍に対する姿勢が、12月以降問われていくのである。

*1 下手すると自分の1ヶ月分だったりするけど、どこの家庭も年間2万円で書籍費って収まるもんなの? 節約を考えるなら書籍費減らすべきかw


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