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2006/01/26(Thu.) [長年日記]

[ETilog6][trip] 山田線の魅力

山田線の車窓 岩手に住んでいるとなかなか実感がわかないのだが、岩手に鉄道で来られる方は口々に山田線、とくに盛岡-宮古間のいわゆる「山線」の部分の山田線を絶賛しておられる。5年前に岩泉線乗車達成帰り、茂市から盛岡まで乗ったことはあったが、なにぶんにも夜間。1回昼間、それも雪の時期に乗ってみようと思い立った。幸い、盛岡駅に数駅というところに住んでいるので、「いわてホリデー・パス」2200円で気軽に旅行できる。今回は、盛岡10時47分初の快速リアス宮古行きに乗ってみた。  列車は最初盛岡市街地を走る。列車や駅のすぐ近くに住宅がある。騒音が心配だが、異風景に心打たれる。上米内のあたりから一段と雪景色が濃くなる。区界峠へ必死こいて列車は走る。かの大志田駅や浅岸駅を通り過ぎるが、大志田駅は雪のせいか見逃してしまった。浅岸駅は大志田駅より人の気があり、それもまた衝撃風景である。  区界駅へ。駅では、何度も車で来た道の駅区界が見える。このあたりからが絶景の嵐と賞賛される区間である。だが、私は自分が期待していたほどの感動を車窓から得られなかった。何度も教授の車、あるいは自分の車で行き来した「日常」の風景である。  だが、陸中川井駅近くの車窓をみて、私ははッとするものを感じた。  山の中に突如として現れた大きい集落。これだ。山田線の魅力はこれなのだと確信した。  本来、自然の風景が魅力の山田線で、自然の真逆である集落が魅力とは不可思議かもしれない。だが、清流や線路の左右に聳える山々といった自然度があまりにも高い割りに集落が存在するという高低の激しさこそが山田(山)線の特徴であり、山田線をアイデンティファイしているものである。自然の風景だけだったら林の中を突っ走る北海道の石北本線やふるさと銀河線、原野を走る宗谷本線、日本海の美しさに併走する五能線のほうが魅力的である。しかし、山の中を走っているくせにあきらかに人がまだ住んでいる人家が見受けられることこそが自分の想定を超えた旅ならではの体験となり得るのである。また、それは失われた日本の少し古い時代の再訪であるとも言える。地理的にだけでなく時間的にも旅行した気分になれるから山田線は素敵である。鉄道駅だって、都市圏の駅では絶対に見ることのできないシーンばかりである。こじんまりとしながらも人が乗ってくる区界駅、陸中川井駅。通過駅ながらも駅員が見送りを行う川内駅。人気ないくせに分岐駅である茂市駅。そして、傍線ホームだけだったり駅舎が立派だったりする個性的なそのほかの駅。盛岡から宮古まで飽きさせない。  その後、山田(海)線にも乗車した。こちらはこちらでまた趣のある区間である。あの「吉里吉里」駅や、町の中心の陸中山田・大槌両駅も見所があり、海岸線のくせに山の中走っていたり、海が現れたりとリアス式海岸を楽しませてくれる路線である。  確かに全くの自然を走る区間のある鉄道路線も魅力である。しかし、都会人から見れば不便以外の何者でもないところに人の温度を感じることが出来るローカル鉄道の魅力も捨てがたい。その路線のアイデンティティを感じたくて、私はつい鉄道で旅に出てしまう。 カテゴリ

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