2014/09/28(Sun.) 経営不振 [長年日記]
■ [Review][Book] 小田光雄の出版状況論三部作を読む
佐野眞一のだれが「本」を殺すのかを探し出して購入し読み終えた。すると、同本が出版危機をミスリードしたとする小田光雄の「出版状況論三部作」をどうしても読みたくなる。「だれが「本」を殺すのか」で挙げられる状況は、小田の紹介してきた状況と大差がないように思えた。いつもなら大型書店で買ってしまうのだが、そろそろ資金が尽きてきたので、悔しいが図書館で借りて読んだ。
「ブックオフと出版業界」だけはぱる出版刊行のものしか図書館になく、そちらで読んだ
70年代後半に始まった郊外型書店のリース方式が今になって苦しい、書店は選びがいのある業種だが、転用が厳しくやはり苦しい。取次の売掛金に対して書店の在庫が下回るような状況があり、書店も新規出店を繰り返し、出版社も新刊で食いつなぐような状況。近代出版システムが現代に適応出来てない、とするのはこのあたりか。
リブロポートのような好条件(セゾン資本、ファミマ雑誌の中取次)でも駄目だったとか、リブロが日販参加になったのは事情があるのだろうとか、雑誌が物書きを支えていたとか、結局アマゾンの隆盛による第二の敗戦とか、目新しいトピックが多かった。
佐野が出版危機を「だれが「本」を殺すのか」でミスリードした、というよりは、みんな現状把握で満足してしまったというのが相当なところか。「ふーん」で終わってしまったと言うことだ。著者からすればミスリードなのだろうが。
私は本屋好きではあるが、一方でKindle購入件数は増えるばかり*1。本屋は消えないで欲しいが、レコード屋の行く末を見れば厳しい願いかもしれない。いや、書店は残ると思っているが、楽観的に電子書籍は駄目だ、やはり本は紙だといっている人を見ると、「男女間の友情は可能」と言い切る女性のような危うさを感じる。今の状況のままでは済まされないだろう。
じゃあどうするの?という問いに対して、有効な手段を提案することは私には出来ない。仕方ないので、地方の老舗書店を巡っては、本を1,2冊買うように努めている。これ以上の努力は一読書人には出来ないし、自分のおまんまは自分で何とかせねばなるまい。
*1 なぜ国産電子書籍書店を使わないかといえば、Kinoppyを除けばソニーも楽天も「購入した電子データをストアを閉めて継続利用不可にした」前科があるからである。アメリカ資本のAmazonやAppleに信頼で劣る
何かあればwebmaster@etilog.netまで