2010/05/14(Fri.) 幼い私をはやぶさに乗せてくれた亡き母へ捧ぐ [長年日記]
■ [Train] はやぶさ、北へ。
ハヤブサは九州から北海道まで、日本全国に生息するということをはじめて知りました。
正直、一報を聞いたときは全く信じられなかった。「さくら」の時と違って、全く評価できなかった。私自身、西鹿児島から東京まで「はやぶさ」に乗ったことのあるクチだったし(幼稚園の時の話だ)、はやぶさは薩摩隼人の「隼」に通ずるという話を信じてるタチだった。JR東日本はダメだ、(経緯はどうであれ抽象名とも取れる)「はつね」の方がマシ!と、数日は気分が悪かった。
が……
3日くらいして、「はやぶさ」しか採用し得ないということに思い至った。転向してしまった。
以下の連立方程式を解くと、そうなってしまう。
- 九州新幹線完結の種別が「つばめ」であり、その上位種別を決めなければならない
- 今回のE5系愛称は、「はやて」の上位種別である
第一項を満たすには、「つばめ」より遅かったかもしれないが日本最初の愛称である「富士」か「櫻」を出すしかない。仮にも「燕」の上位であれば歴史で勝る愛称しか有り得ない。「はやぶさ」が「燕」の上位というのは残念ながら有り得ない。しかし、上位種別とはいえ運行区間は新大阪~鹿児島新幹線*1駅であり、「富士」は採用できない。ついでに、募集時は「富士」も「はやぶさ」も現役だった事情もクロスする。となると、大阪の市花であり、桜島の"桜"であり、春の開業であることも踏まえて「桜」が最適となる。
問題は第二項だ。
「はやて」は採用されることはなかったが、「富士」「櫻」が選出されたときの公募10傑に列する由緒ある列車愛称である(「疾風」)。それをマイグレーションして行くには、それ相応の「格」がある名前でないとならないのである。
そう考えると、いくら国鉄特急以来の運行実績があるとはいえ、ビジネス特急「こだま」以来の歴史である「はつかり」は残念ながら「はやて」に格で劣る。ここは声を大にして言いたい。
となると、「富士」「櫻」「燕」の時の東海道線特急愛称に勝る由緒となると限られてしまう。
- 戦前の南満州鉄道等で走っていた特急・急行の愛称
- 「のぞみ」「ひかり」「あかつき」「興亜」「あじあ」「大陸」「はと」「あさひ」
- 全くの抽象名による新設
- 「みらい」「きぼう」etc...*2
私個人が「はつかり」や「みちのく」を推す気になれなかったのは、このE5系新種別はいずれはリニア速達種別になることも有り得る、日本が誇る新幹線カンパニー・JR東海の「のぞみ」に比肩することになる、メガ鉄道会社JR東日本のフラッグシップ・トレインであるという視点が種別採択に当たって欠けている点だった。漸く悲願叶って開業するのが嬉しいのは分かるが、青森県だけの新幹線ではない。東北本線系統が、首都東京を起点として東海道本線系統と対になるものなのだ。その愛称に「格」や「由緒」は当然必要である。「富士」は通らないからダメ、「あさひ」はあさまとの兼ね合いで却下、「あじあ」は植民地支配臭が…そうなると、「ちどり」か「はやぶさ」か「はと」か「平和」くらいしか選択肢がないということになるのであった。
「さくら」の時も長崎のイメージがとか、「はやぶさ」も鹿児島行きのイメージが…というのは分かるが、これはあまり採用したくない。「富士」は宇野行きのイメージがあるのか? 青森駅で大阪に行けると思って「白鳥」に乗ったら函館だった? これらは理由としては弱い。超個人的な思いでは、いくら「はやぶさ」が薩摩隼人の「隼」であっても、「『西鹿児島』の『西』は(鹿児島の英雄である)西郷隆盛の『西』」と聞いていたのに(教えてくれた親戚も出任せであっただろうが)あっさり捨て去ったわけだから遠慮することはないよ、と鹿児島県人と青森本籍のハーフゆえに言ってしまう。
…そもそも、八戸開業の時に「はやて」にしてなかったら、第2項は消滅してたわけだから、盛岡止まりのやまびこから青森止まりの「はつかり」というのはアリだったのにと惜しまれてならない。「はやて」とつけてしまった以上、格が不幸にもその時点で上がってしまったのだった。正直、「はつかり」が過去帳入りするのであれば盛岡止まりの「やまびこ」も過去帳入りにして、各駅停車タイプははやぶさの号数3桁台にしてもいいかと思う。「はやて」はやはりやませの呪いとか、疫病のイメージがあって短命だったということにして、「はやぶさ」にマイグレーションしきってしまうより他にないのではないか。
河北新報にはJR東日本のプレスになかった10位までの愛称が載っている。
<E5系愛称の公募結果>
名称 件数
(1)はつかり 8,948
(2)はつね 7,184
(3)みちのく 5,904
(4)つがる 4,888
(5)はやて 4,200
(6)みらい 4,130
(7)はやぶさ 3,129
(8)かわせみ 2,957
(9)ねぶた 2,272
(10)とわだ 1,984
[河北新報 東北のニュース/はやぶさ人気、助走段階 東北の利用者、評価これからより引用]
青森色の強い3,4,8,9,10は不可となる。2は嫌悪するほどではないが、やはり唐突なのは否めない。危機感を覚えて5で投票までしてしまったが、愛称を新しく制定するのならせめて6…と思っていた。やはり「はやぶさ」には遠慮があったが、残念ながら青森色を拒み、「はつかり」>「はやて」を許容できないという立場なら消去法で7になってしまうということなのだった。
問題は、新函館開業時にまた愛称募集するのかということだ。JR北海道のことだから、「スーパー」をつければ満足するのかもしれない。新函館駅の所在地も相まって「ほくと」が有力候補で、函館-札幌をJR九州よろしく「リレーほくと」にしてしまう手もあるだろうが。願わくば新函館開業時にも札幌開業時にも愛称募集するとかことはやめてほしい*3。
Twitterの公式RTの時のように「一度決めて出してしまえば文句があってもみんな使うんですよ」という論調は嫌いだ。だから、鉄道会社が決めれば不平が多くてもみんな乗るんですよ~という立場には同調できない。だが、どんな愛称になろうとも、東北の未来の一翼を東北新幹線新青森行きが担うのは確かだ。津軽だ南部だ色々あるのではあるが、インフラを上手に使って(ストローで吸われずに)今後の東北を創っていきたいのだという思いだけは、私の中でブレることはない。
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