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2018/08/26(Sun.) これからもたくさんお金使いましょうね [長年日記]

[Diary] さわや書店ORIORI店へ行く

盛岡には毎年行ってる……はずなのだが、2017年度は1回も行くことが出来なかった。2018年4月末、2017年2月以来久々に盛岡を訪問することが出来た。確かに毎年行ってるのだが、年度か年間に空きが出ることはあるのだ。……はい、以下は4ヶ月前の話である


盛岡に行けなかった期間に、盛岡フェザン3階への「ORIORI produced by さわや書店」のオープンがあった。

正直最初開店を知ったときは驚いた。フェザン店が無くなるのかと思ったが、そうではないらしい。盛岡ターミナルの駅ビルは書店を複数持つのが好きだ。過去にはパルモ(盛岡の地下街)にさわや書店、駅ビルフェザンにブックスいわて(花巻の誠山房)があった。……あまりブックスいわての記憶が無い。新幹線に乗るときに雑誌を買う用途の本屋だったか。一方、パルモにあったさわや書店は在来線改札口近くにあり、電車待ちでよく使ったものだった。伊藤店長時代のさわや本店以上に使っていたのではないか。その後地下改札はなくなり、さわや書店パルモ店はフェザン店となった。フェザン店となってからの快進撃は知られている。が、パルモ店のヘビーユーザーとしては(今もさわや書店の多くのブランチの多くと同じような)ある種普通の書店だったパルモ店を懐かしく思ったりもする。


それはそうとORIORI店である。CDを扱う、文具を扱うということで、ただ、このCDを扱うというのは新星堂撤退の補完のように思える。だいたい、フェザンの3階は長く無印良品だった。意地悪い見方では穴埋めのようにも感じる。


見に行ってみると、CD売場にこそ関連書籍を置いていたりするものの、今流行の複合店のように尖った感じはせず、ポピュラーな書店の感じがする。文具も一般的な文具であり、同じフェザン本館にORIORIオープン後も存続しているポルタマジカのようなエッジの効いた雑貨を多く扱っているわけでは無い。参考書に雑誌、若干の児童書、尖りすぎてないビジネス書や人文書など。


唯一ORIORI店の個性と言えるのが、レジ前の企画棚であり、ここは新刊書か郷土書で攻めるフェザン店と異なり、いわゆる古典というか、永く読み継がれてきた良書を並べる意志を感じた。流行のフェザン店、不易のORIORI店といったところか。ただ、それは一瞬の一断面ででしかない。ORIORI店といえど田口久美子本に次ぐ勢力を伺うようになったさわや書店本のコーナーを設けているし、確固としたポリシーを謳う棚ではないようだ。


ここで、盛岡ターミナルビル・フェザンとしては2つの店舗を統合させて大規模なさわや書店にすれば良いのに、という気もする。が、さわや書店は100坪強の店舗面積への拘りがあるのだと思う。400坪クラスの店舗は出来ないという確信か、自分たちの得意は200坪以下という自信か。

さわや書店フェザン店店長松本大介氏の新刊『「本屋」という物語を終わらせるわけにはいかない』(筑摩書房)には、東山堂ブックセンターの豊富な在庫に圧倒されたもののコミック売場と郷土書コーナーしか記憶に無いことを追想している。

本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない
松本大介/著
筑摩書房
¥1500

売り場が大きければ大きいほど、お客さんは細部への関心を失うものだ。購買意欲を掻き立てるまでの「集中力」をいかに維持させるか。力点を意識して店を作らないと、のっぺりとした印象の残らない店になってしまう。

*1 *2


先の松本氏の著作によると、ORIORIはオープン当初は女性向け雑誌を多く置いていたようである*3。だが、その仮説は見事に立証出来なかったようである。目下、試行錯誤の真っ最中というところか。そんなこともあってORIORIはどう進化していくのか、ゴールデンウィークに3日ほど通って棚を見てると、今後がちょっと気になりだしてしまった。

*1 2001年に盛岡近郊に東京から引っ越してきた私にとっては、さわや書店本店でなく、東山堂ブックセンターの方が唯一の光だった。このあたり、紀伊國屋書店新宿本店/南店に三省堂書店神田本店を経ていたガキとの違いだろう

*2 伊藤清彦『盛岡さわや書店奮戦記』(論創社)にはかつて盛岡大通り商店街(帳合の違う)二五〇坪の大書店、一五〇坪の中書店、二百坪のさわや書店があり、書店共同体を形成し競いつつも支え合った営業していた旨の言及がある

*3 このあたりはWebちくまの連載では語られていないあたりだ


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